テレビをまったく見ないので、どのくらいお茶の間で話題になったのかは知らないのですが、最近キム・カーダシアン(Kim Kardashian) というアメリカのめちゃめちゃグラマラスなタレント(カニエ・ウェストの妻)が、発表した自作の矯正下着ブランドを「Kimono」と名付け、大騒ぎになる事件が発生しました。
彼女はネット上で発表しただけなのですが、ブランド名として商標登録し大々的に売り出す方針だと書いたので、一部の日本人ネットユーザーから大批判を浴びることに。
「日本の伝統的な民族衣装を侮辱するものだ」と言う批判の嵐が彼女のSNSに殺到したという事件です。京都市長や世耕弘成経産相もコメントするなど、かなり大ごとになった様子。
反対署名まで行われて、結局彼女はそのブランド名を取り下げたようです。
ちなみにその話題の下着はカーダシアンさんのインスタからどうぞ。
ちょっと日本人には馴染みのない観念で難しいのですが、マイノリティーの文化をマジョリティーが真似する場合、「文化の盗用」とみなされることが多いらしいです。今回もその要素が強いため、日本以外でも声が上がったそうです。
白人が黒人の真似して髪を細かく編み込んだ「コーンロウ」をするのなんかも、「文化の盗用」とみなされて批判されます。
実は着物の扱いおいて、「文化の盗用」事件が起きたのは今回が初めてではなく、以前にも白人女性が着物を着て日本風の場所で撮影したものが雑誌にのり、抗議が殺到したことがありました。
ただ、今回の件を受けて??と思ったのが、もうすでにずっと前から日本で言う「着物」と、あちらの言う「Kimono」は別ものだということ。あちらの「Kimono」はこんな感じなんです。↓
グーグルで「Kimono」を画像検索するとさらによくわかると思いますが、形が違うだけでなく、下着の上に羽織ったり、バスローブのように使ったりするのです。なので、おそらくアメリカで言う「Kimono」は下着に近いもののイメージだったと思われます。ちなみにちょっとセクシーな感じです。
他にも、日本語が元なのに、海外でちょっと違う意味に代わってしまっている言葉は結構あります。
Futon(布団)
私がアメリカにいたころからこの「Futon」は看板でもお見かけするくらい定着していますが、日本の布団とは違って、ソファーベッドみたいな感じです。↓
sempai(先輩)
これが面白いのですが、元々の意味と違って、
恋してもかなわない、手に入らない憧れの人
みたいな意味になっています。アニメ界で、少女が「先輩!」といって憧れの先輩に恋い焦がれるシーンが多いことからこんな意味になってしまったと思われます。
Notice me senpai! なんて表現もできちゃいました。「気づいて!」みたいな感じかしら・・・。
Kawaii(かわいい)
なんかも最近はそのまま通じますが、主にキティーちゃんとかアニメのキャラとかに対して使うもので、ちょっと日本語「かわいい」とは感覚が違うようです。
不名誉な日本語としては、
Karoushi(過労死)
Chikan(痴漢)
Hentai(変態)
などがありますが、結構前から使われていて日本語由来でビックリなのは、
skosh
という単語。ローマ字表記でもないしでもよく言われるんだけど、何だろうと思っていたら、日本語の「少し」からきているのです。I need a skosh room.(少しスペースが必要です。)などと a little みたいに使います。昔この表現を多用するアメリカ人の友人がいて、「日本語覚えたからうれしくて、日本人の私に言ってきているんだなあ」と思っていたのですが、なんとしっかり英語として定着しているのです。
少しなんて表現、英語でも立派にlittleとかがあるのだからなぜ日本語から借用したのかは不明ですが、思うに、日本人が「少し」を多用するからじゃないでしょうか。最近はchotto(ちょっと)も認識されてきてますから、言い回し的に日本人ぽいのでしょう。
あと意外なのが
Honcho(班長)
え?leaderでいいじゃん?と思いきや、これも英語として通じるようです。なんでも第二次大戦時、捕虜になった日本兵が「班長!班長!」と頻繁に呼ぶのを、アメリカ兵が真似ていたのが始まりだとか。
そうそう、アニメ関係の日本語もかなり英語になりつつあります。今や日本の文化と言えば着物やすしよりアニメ。あっちのOtakuたちのアニメへの熱の入れようは日本人も顔負けで、海外アニメ界での日本語の普及はおどろくほど。
ArigaThanks(ありがとう)
UruShutup(うるさい)
YamekudaStop(やめて)
って、途中から英語なんですよねえ・・・。
Nani(何)やDoushite(どうして)などの疑問詞系も結構わかるみたいです。
面白いですよね。英語から来てカタカナで定着したものはたくさんありますが、逆に日本から出て行って英語となったものもあるのです。ひょっとしたら今使っている日本語の中にも、将来英語入りするものがあるかもしれません。